スギ(杉)
スギ(杉)
○スギ科スギ属/常緑高木/雌雄同株/沢沿いに多く土壌の深い所でよく育つ
杉と私たち日本人の関わりは深く、日本書紀では杉(スギ)と檜(ヒノキ)と樟(クス)と柀(コウヤマキかイヌマキいずれか)の四種が樹木の誕生とされており、なかでも杉は神聖な樹として位置付けられていたようです。直立した幹の立ち並ぶ森林の中で感じる神々しさを思うと納得です。そして、その幹が直立する姿から「真(す)ぐ木」がスギという名前になったと言われています。
そんなスギは言わずと知れた建築材木の重要樹種のひとつで、その歴史も古く静岡県の登呂、山木遺跡などからは多くのスギの板材が出土しています。鋸などの工具が発達していない古代においても利用されていたのには木目が真っ直ぐに通り、割りやすかった事などが考えられています。
そんな古代から関わりの深いスギの植林地を、柿本人麻呂は「古の人の植えけむ杉が枝に霞たなびく春は来ぬらし」と詠んでいます。
現在でも日本における人工造林面積はスギが最大ですが、多くの課題を抱えているのもまた事実です。木材の海外依存による使用量の減少とそれに伴う林業の衰退、放置林などにみられる山の脆弱化と自然災害の増加、都市における生活向上と自然環境との分離で蔓延する花粉症、このような負の連鎖からの脱却が求められています。
また、スギは地域における形態や生態の差異が出やすいとされ、日本海側と太平洋側でも違いがみられ、なかでも屋久島の屋久杉は特有の姿をしています。そんな特性から、地域ごとに独特な育て方がなされてきました。奈良県の吉野杉、秋田県の秋田杉、富山県の立山杉などが有名ですが、庭の世界で避けて通れないのは京都北山地方の台杉ではないでしょうか。垂木として利用するための独自の育て方により、根元から何本もの幹のが直立したその頂点に葉の茂る独特の姿が庭木として価値があるとされ庭に持ち込まれました。
〇スギの手入れ
剪定 3、4月 及び 9、10月
植栽、移植 3、4月