庭仕事をしたくなるお庭
今回、アトリエブロンズリーフさんからご紹介いただいたお施主様は植物の大好きな方で、その思いが強いだけに今のお庭の現状に満足できず、最近では庭に出る事もなくなってしまって、何とかその現状を変えたいと今回のリガーデン工事に踏み切ったそうです。
一番の悩みは雑草だといいます。草花を買ってきて植えても雑草に負けてしまうのだとか。次に水はけです。もともと山の裾に当たる場所を切土して宅地にしたそうで、地形的にも水が溜まりやすく土も硬く粘土質で水はけが悪いのだとか。
これらのことからお施主様は現状から更に1mくらい盛土をして、その土留めに自然石を使ったロックガーデンを希望されていました。そうすることで水はけの改善を図り、石の面積の分だけ雑草の生える面積が減り、盛土により植える植物を目線に近い場所で見れる、そう考えたそうです。
聞くところによると今までも良くしようと何度か改修工事をしてきたそうです。けれどそれも今回で最後にして、このお庭をこの先もずっと好きでいられる空間にしたいと、今回の大改修への並々ならぬ意気込みに私の方も気の引き締まる思いでした。
そうしてロックガーデンへの改修工事が始まりました。石を組むにあたってまず私が強く意識したのは、それにより植物が引き立ち心安らぐ風景となること、庭仕事がし易くなり楽しめるようになることの二点です。そのためには石の見せ方も大事ですし、大小のバランスも大事です。それらを大事にしつつ、それとなく植栽スペースを区画割りして植栽計画が立てやすくなるように工夫しました。
それに加え、盛土により勾配の強くなる箇所では土留めの石の下に改修時に出たレンガやガラを砕いたものと不要になった砂利と竹炭とで垂直方向の透水層を設けました。そうすることで雨水による表土の流出防止を図り、排水が低い位置に集中しないようにしたのです。そして一番低い位置である縁にも同じように透水層を設けて排水を促し、テラスとの接合にはコンクリートを使わず砂利によりテラスからの雨水の流入にも備えました。
以上のように自然石による修景とともに機能面にも配慮して石を組み、組んでは土を入れる。という作業を繰り返します。そしてその土には腐葉土と竹炭を投入して微生物の活性化を図りました。
そうして植物を植える基盤は整い、ここから先はお施主様の出番となります。ご自身により厳選された植物たちを植えていくのです。心配になるほどのたくさんの苗でしたが全てが無事に場所を得ました。そしてその時をもって今回の工事は竣工となりましたが、それと同時にそれがこのお庭の始まりとなるのです。これからはメンテナンスを通してお施主様とともにこのお庭を見守っていきたいと思います。