イヌマキ(犬槇)
イヌマキ(犬槇)
〇マキ科マキ属 / 常緑高木 / 雌雄別株 / 日陰によく耐える
イヌマキはマキ科マキ属の樹木です。マキ科マキ属に属する樹木は日本ではイヌマキの他にナギが自生し、その二種から成ります。同じマキの名がつくコウヤマキは、その一種から成るコウヤマキ科コウヤマキ属の樹木です。元はスギ科に属していたのが葉の形態の違いなどから独立の科となったそうで、こちらは日本の固有種になります。
庭木ではイヌマキの変種であるラカンマキがよく使われ、イヌマキに比べ葉の小さいのが特徴ですが区別が難しいほどよく似ており、一般に庭木でマキというとこのどちらかを指しコウヤマキの場合はマキと呼ばずコウヤマキと呼びます。このコウヤマキ、ヒマラヤスギとナンヨウスギと並び世界三大庭園樹と呼ばれるほどの樹木ですが見かける頻度としては日本庭園の歴史で江戸五木(マツ、マキ、カヤ、モッコク、イトヒバ)にかぞえられたイヌマキやラカンマキの方が多いといえます。
どちらも耐陰性が強く、特にイヌマキ、ラカンマキは加えて海岸近くの山地に生育する事から塩害にも強く、海岸沿いの畑や住宅の生垣として利用されたり、萌芽力が強く枝の誘引もしやすいため玉散らしなどの仕立物として利用されてきました。対してコウヤマキは自然樹形に近い円錐や円柱形で単僕で植えられたり列植されたりしています。
ところで犬槇(イヌマキ)はなぜ名前の槇(マキ)の前に犬(イヌ)がつくのでしょうか?
樹木の名前でイヌがつくのは‟劣る”という意味合いで用いられます。実は槇は杉に比べ材木として劣るため、犬槇と呼ばれるようになったそうです。とはいえ槇は杉、檜、樟と共に我が国における樹木の誕生の四種の一つとして日本書紀に登場するほど歴史は深く、その時代から耐朽性の強さの認識があったようで、棺の材木として使用するように書かれており、杉と樟は船の材木、檜は宮の材木として利用法が定められています。ここでの槇がイヌマキなのかコウヤマキなのかははっきりしないようですが古墳からはコウヤマキの棺が出土しているそうです。
〇イヌマキの手入れ
剪定 5月~9月
植栽、移植 3月~6月